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まとめ

広く浅くですが、ギフトの歴史を調べると、日本のギフトには3つの一貫した流れがあるように思います。

(1)

お金やモノが必要になる節目や儀式の時に、親類縁者や近所の人がいろいろなモノやお金を持ち寄り、助け合っていた習慣が現在に残ったもの

(2)

神仏への感謝の気持ちを表すもの

(3)

海外の宗教的儀式の一部が日本でイベント化され、商業ベースに乗ったもの

ギフトの歴史

 日本のギフト(贈り物)は用途によって大きく5つに分けられるのではないかと思います。
それぞれの歴史を簡単に紹介しましょう。

(1)企業認知を高めたり商品を宣伝するための贈り物(企業販促品)

引き札 一般的には、江戸時代の中期頃に江戸で流行した「引き札」であると言われています。引き札とは現在のチラシのようなものであり、美人画や風景画の中に店の名前を入れるのが一般的でした。
しかし、中にはアイデアを駆使する人や店も現れます。引き札になぞなぞを入れ、包装紙として発展させ、その包装し欲しさに商品を買いに来る客でにぎわった店や、きれいな絵だけでなく、そこに店の特徴を書くようにしたり(キャッチコピーを入れた)することによって、店の売上を大きく左右するようになりました。
事実かどうか定かではありませんが、平賀源内が「土用の丑の日」という看板のようなものを作って、うなぎ屋の繁盛に結びつけた話は有名です。この話がもし本当であるなら、ただのうなぎをイベント化する策は、メリーチョコレートの仕掛けたバレンタインデーに勝るとも劣らない方法だと思いませんか?

(2)日ごろ感謝の気持ちを込めて、定期的に贈る贈り物(中元・歳暮)

●お中元
お中元は中国の慣わしが日本に伝わったものです。古代中国の道教信仰では、年に3回神様を奉りました

・上元(1月15日)

天官(天神様)を奉る日

・中元(7月15日)

地官(慈悲神様)を奉る日

・下元(10月15日)

水官(水と火を防ぐ神様)を奉る日

  このうち、中元の慈悲神様が仏教思想と結びつき、お盆の行事と結びついたのではないかと言われています。このお盆の行事のみが日本に伝わり、仏に供えたお供え物を親戚や近所に贈る習慣となり、現在では「お世話になった人」を含めて贈り物をするようになりました。

中元・歳暮●お歳暮
もともとは「歳暮の礼」、つまり歳の瀬の礼儀として、新しい年を迎えるための供物を本家や親元に持っていく行事のことでした。現在ではやはり「お世話になった人」を含めて贈り物をするようになりました。

 昔は広いエリアでの人の行き来がなかったため、親族や近所の人との付き合いしかありませんでした。明治維新以降、特に戦後は物流や交通が発達し、距離を越えた人間関係を作ることが可能となり、「お世話になった人」に対して感謝の気持ちを伝えるように変わって行ったのではないでしょうか。

(3)記念日をお祝いして贈る贈り物(誕生日・入学・卒業・七五三など)

入学式 誕生日を祝う習慣は、欧米の習慣が戦後に定着したものか、各町に数人しかいないような大金持ちの主人の誕生日を毎年祝ったことが、国全体が裕福になって定着していったものか定かではありません。いずれにしても、昭和30年代頃から徐々に定着してきたようです。
それまでは、出産を祝い、命名を祝い、生まれて7日目のお七夜、お食い初め、生まれた赤ちゃんが初めて正月を迎えるときの「初誕生の祝い」に始まり、縁起のよいとされる奇数の年齢になったお祝いの「七五三」と、小さな子供の成長を祝う儀式は多くあります。
特に昭和の初めから戦後にかけては、3歳の祝いは比較的盛大に行われていました。7歳の誕生日は小学校への入学と重なったため、入学祝と相殺されていたようです。
これは、乳幼児や子供が病気で亡くなることの多かった時代背景にあるのでしょう。年をとれば60歳の還暦祝いや、米寿・喜寿など77歳・88歳などの縁起のよい数字が並ぶ長寿を祝ったのです。

(4)イベントを楽しくするためのプレゼント(コンペ・ゲームの賞品・バレンタイン・クリスマスなど)

プレゼント●バレンタインデー
バレンタインデーは、紀元3世紀の頃、士気の下がることを恐れ兵士の結婚を禁止していたローマ皇帝に反し、兵士の結婚の手助けをしていた聖バレンタイン司祭を、2月14日にローマ皇帝が処刑したことが由来だという説もあります。日本で定着したのは1958年のメリーチョコレートのキャンペーンからです。「女性から男性にチョコレートを贈ろう」というこのキャンペーンは、大当たりして現在に至ります。海外ではバレンタインカードのやり取りが一般的のようです。

●クリスマス
クリスマスは古代ヨーロッパの冬至の祭りにキリストの誕生日を合わせたのが始まりと言われています。サンタクロースはセント・ニコラスが子供にプレゼンを配る聖人として愛された大衆がモデルになっており、あの赤い衣装はコカコーラ社の宣伝用ポスターに、コカコーラの赤の服を着たサンタクロースをデザインしたのが広まったものです。
それ以前のサンタクロースの服装は、いろいろな色で描かれていたのです。

(5)神仏への贈り物(お供え物・祭り・お盆)

祭り 神仏への御供え物は日本のギフトの始まりであるという説があります。特に新鮮なアワビをお供えしたようです。アワビの身を薄く剥いで伸ばし、乾燥させた「のしあわび」は「伸びる」「永遠」を意味し、贈り物に添えるようになっていきました。「のし」は慣習として今も残っています。
神仏への感謝の気持ちはお祭りへと姿を変え「イベント」そのものを贈り物とするパターンも定着しました。